矢口高雄の独り言

「2011台北BOOK Fair」に寄せて  更新日時:11/02/17



社団法人「台北書展金会」の招聘により「2011台北BOOK Fair」(2/8〜11)に行って来た。

この「BOOK Fair」は台湾国のバックアップによって行われる国際的書展で、
貴賓は各国から招待されていた。
私はマンガ家として日本からただ一人の招待となったが、「釣りマンガ」という
草分け的な新ジャンルを拓いた作者として招待を受けたものだった。

国際図書展だから、ブースはマンガだけとは限らない。一般書籍や、絵本部門、学術書や
実勢所などの4つの展示場に分かれての開催だった。
しかし、観客はのお目当てブースは何と言ってもマンガ展だった。

私にとっての訪台はこれが6度目だが、台湾のマンガ熱は相当らずすごい。
9日10時がオープンだったが、会場にかけつけた時には既に黒山の人だかり。
いずれも若い男女のファンたちで、その割り合いは、7:3で女性のパワーが圧倒していて、
地元紙のこの日のマンガ展に押し寄せた人の数は65000人と大見出して報じていた。



そんななかで4時から私のサイン会(抽選による100名限定)が、行われたが、
熱烈歓迎の声が飛び交い、思わずサインペンに力が入った。

ただ毎度思うことだが、台湾の若いマンガ家たちの作品傾向は、日本のアキバ系絵柄の模倣が目立つ。
ほとんどがそれと言っても過言ではない。
原因は台湾のマンガ出版事情にある。読者が手にする作品の大半が
日本マンガの翻訳版に頼っているという事実だ。
日本マガは面白いから出版社はこぞって翻訳版を出版することになり、結果売れてもうかる。

しかし、これでは自国のオリジナリティな作家作品は育つまい。
そこに大きな矛盾をかかえているのが台湾マンガの実情である。

日本マンガを愛読することは悪いことではない。すべての芸術は模倣に始まるという言葉もある。
しかし大半が日本マンガの翻訳版というのはいかがなものだろう。
半分は日本マンガの力を借りたとしても、残り半分で自国のマンガ家を育てる必要があるだろう。
そのためには出版社の努力も必要だし、なかんずく読者の支えなくしては為し得ない。

早い話読者は自国のマンガ作品を買って読むことだ。
そうすればその原稿料や印税は自国のマンガ家の懐をうるおし、次の作品を生み出す力となる。
こうした支えがない限り自国のマンガ家は育たない。

そんなことをつくづく感じた訪台の旅だった。






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